「受動態」は英文法の中でも大切な表現の1つです。
「~される」と伝えたいときに「be動詞+過去分詞」を使い、表されます。
「受け身」とも言いますが、この言い回しは日本語でもよく使われるので、覚えておくと表現が一気に広がりますね。
しかし、受動態の使い方や作り方は難しいので、苦手意識を持っている方も多いと思います。
そこで今回は、そもそも受動態とは何か、どのような時に使われるのか、時制や文型ごとの使い方について解説します。
受動態についてよくわからない方も、この記事を読んでマスターしましょう。
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目次
そもそも受動態ってなに?
受動態とは、受け身の文章のことを指します。
何かしらの行為を受ける側が主語になっている文章で、主語が「~される」と使いたいときに用いられます。
そのため、話しの話題は、主語である受動者ということになります。
また、受動態の反対に能動態があります。
能動態は、一般的な文章で、自然に使っている方も多いでしょう。
では、能動態と受動態にはどのような違いがあるのか例文を見て確認してみましょう。
- 能動態
I yelled at him.
「私は彼を大声で怒鳴った。」 - 受動態
He was yelled at by me.
「彼は私に大声で怒鳴られた。」
上記のように、文章の内容は同じでも、主語が違うことで雰囲気が変わりますね。
基本的に受動態と能動態は書き換えが可能
上記の例文では、「行為をする側」の「私」に着目するのか、「行為を受ける側」の「彼」に着目するのかで、文章が変わります。
日本語だと無意識のうちに使い分けていると思いますが、英語でも同じです。
基本的には、「行為をする側」を主語とした文章が多く、能動態が使われます。
しかし、上記の例文において、「彼」に対する質問や「彼」を中心とした話の場合は、受動態で表すことが自然でしょう。
受動態にすることで、何が強調されているのか考えるとわかりやすいです。
また、基本的に能動態と受動態は書き換えが可能です。
しかし、受動態ならではの使い方も多いので、後ほど詳しく紹介します。
受動態の作り方
では、実際に受動態はどのように作るのか、どのような英文になるのか、順を追って説明します。
受動態は基本的に「主語+be動詞+過去分詞」の形で表します。
過去分詞の後に、「by+行為をした人や物」が続く場合も多いので、一緒に覚えておくと便利です。
では能動態と受動態の例文を使って考えてみましょう。
- 能動態
She broke the wall.
「彼女は壁を壊した。」 - 受動態
The wall was broken by her.
「壁は彼女によって壊された。」
基本的に能動態の動詞の直後にある語が受動態の主語になることが多いです。
そのため、上記の例文だと「the wall」が受動者として主語になります。
また、「broke」を「be動詞+過去分詞」の「was broken」に変え、文章に応じて「by+行為をした人や物」をつけて完成です。
過去分詞とは?
受動態の英文を作る際には、「過去分詞」が非常に重要になります。
過去分詞の使い方も様々ありますが、その中でも受動態としての使い方は多いです。
「過去分詞」とは、基本的に「動詞+ed」で表されることが多いですが、不規則変化の英単語もあるので覚えておきましょう。
では、よく出る不規則変化の英単語の過去分詞についていくつか紹介します。
原形 | 過去分詞 | 意味 |
---|---|---|
Be | been | |
Break | broken | 壊す |
Bring | brought | 持ってくる |
Buy | bought | 買う |
Drink | drunk | 飲む |
Eat | eaten | 食べる |
Get | got/gotten | 得る |
Know | known | 知る |
Meet | met | 会う |
Think | thought | 考える |
このように見ると頻繁に使う動詞の中にも、不規則変化の動詞は多いことがわかります。
過去分詞は様々な場面で活躍するので、一通り覚えておくと便利ですよ。
受動態の時制別の使い方を5パターン紹介!
では、受動態の時制とそれぞれの使い方について紹介します。
受動態の時制には主に以下の5つがあります。
- 現在形
- 過去形
- 未来形
- 進行形
- 完了形
それぞれ例文も使って詳しく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
現在形
受動態の現在形は、普遍的な事実について言いたい時にも使われます。
「主語+am/is/are+過去分詞」が基本となり、場合に応じて「by」を用いた英文ができます。
しかし、「by」は省略されることも多いので、絶対につける分けではありません。
例文としては以下のようになります。
- He is called Taro.
「彼は太郎と呼ばれている。」
上記の例文の場合、「彼」は不特定多数の人に「太郎」と呼ばれていることがわかります。
そのため、「by」を用いることはありません。
仮に、ある特定の人物だけに「太郎」と呼ばれている場合は、「by+人」で表せるでしょう。
例文としては以下のようになります。
- He is called Taro by her.
「彼は彼女に太郎と呼ばれている。」
過去形
受動態の過去形は、「~された」と過去の出来事について表したいときに使われます。
「主語+was/were+過去分詞」が基本の形となるので、be動詞の時制に気をつけましょう。
例文としては以下のようになります。
- The window was broken by him.
「窓は彼によって壊された。」
上記の例文だと、「窓」に着目していることがわかります。
異変がある対象が「窓」であることが強調されるので、受動態の英文になります。
「窓」について、何が起こったのか聞かれた際などは、例文のような受動態で答えることが自然です。
未来形
受動態の未来形は、「~されるだろう」と未来に起こりうる事に対して使われます。
「主語+will be/going to be+過去分詞」が基本の形になります。
「will」でも「going to」でも両方使えますが、一般的には「will」を使うことが多いです。
また、「will」や「going to」の後ろは原形なので常に「be」となります。
例文としては以下のようになります。
- He will be praised by his mother.
「彼はお母さんに褒められるだろう。」
未来形になると少し単語が増えるので難しく感じますが、「will+be+過去分詞」を覚えておけば問題ありません。
進行形
受動態の進行形は、「~されている」と現在行われている行為について表したいときに主に使われます。
また、「~されていた」という過去の進行形の際にも使われるので覚えておきましょう。
「主語+am/is/are/was/were+being+過去分詞」が基本の形となります。
例文としては以下のようになります。
- The baggage is being carried.
「その荷物は運ばれているところだ。」
進行形では、必ず「be動詞+being」になるので「ing」を付けることを忘れないように気をつけましょう。
受動態に加えて進行形になると、形も一気に変わります。
完了形
受動態の完了形は「~されている」、「~されてしまった」と表すさいに使われます。
現在完了形や過去完了形、未来完了形があります。
「主語+have/has/had+been+過去分詞」の形が基本の形となります。
未来完了形を表す際は、「主語+will have been+過去分詞」で「されてしまっているだろう」となります。
例文としては以下のようになります。
- My clothes had been made by me.
「この服は私によって作られていた。」 - Your dinner has been made by her.
「あなたの夕食は彼女によって作られたところです。」
完了形では、「been」の形を覚えておきましょう。
受動態の否定文
これまで、受動態の様々な例文を紹介しましたが、受動態は否定文でもよく用いられます。
受動態の否定文は、「be動詞」のあとに「not」をつけるだけなので簡単です。
つまり、「主語+be動詞+not+過去分詞」が基本の形となります。
例文としては以下のようになります。
- The bag was not broken by her.
「そのバッグは彼女によって壊されていません。」
「was not」は短縮して「wasn’t」と表しても問題ありません。
他の時制の英文も、同じように「not」をつけて否定文になります。
文章によって「have」のあとに「not」がつくなど、場所は変わるので気をつけましょう。
受動態の疑問文
受動態の疑問文も、普通の英文と同じように作ることができます。
「主語」と「be動詞」を逆転させて、「be動詞」を文頭に持ってくれば完成です。
つまり、「be動詞+主語+過去分詞」が基本の形となります。
例文としては以下のようになります。
- Was the furniture made by famous person?
「この家具は有名な人によって作られましたか?」
例文で見ると、疑問系に変えることは以外と簡単ですね。
疑問文への回答も、基本の回答と同じように、「yes」や「no」を使って答えることができます。
疑問詞を使った受動態の疑問文
疑問文には、語順を変えるだけではなく、「What」や「How」などの疑問詞を使うことも多いですね。
受動態の疑問詞を使った疑問文も、普通の英語の疑問文と変わりません。
上記で作ったような受動態の疑問文の文頭に疑問詞をつけるだけです。
つまり、「疑問詞+be動詞+主語+過去分詞」が基本の形となります。
例文としては以下のようになります。
- What was put on the table?
「机の上に置かれているのは何ですか?」
疑問詞が増えるとなんとなく難しいと感じるかも知れませんが、基本形を知っていると簡単に作れます。
受動態でも、基本の英文とあまり変わらないですよ。
どのようなときに受動態は使われるの?
これまで、受動態の作り方や受動態について紹介しましたが、実際必要な場面があるのか気になりますよね。
能動態でも書き換えられるなら、わざわざ使わなくても良いと思うかも知れません。
しかし、受動態でしか表すことができない英文いくつかあります。
そこで今回は、受動態が使われる場面について以下の3つを紹介します。
- 行為をした人が分からない場合
- 文章に客観性を持たせる場合
- 主語が長すぎる場合
行為をした人が分からない場合
受動態は、行為をした人が誰なのか、特定できない場合、わからない場合に使われます。
明確な行為者がわからない場合、基本的に「~によって」を表す「by」は使われません。
行為者が不明瞭な例文としては以下のようなものがあります。
- The book was written in 1928.
「この本は1928年に書かれました。」
上記の例文だと、本が誰によって書かれたのかはわからないですが、いつ書かれた本なのかはわかります。
行為者がわからない場合、主語が必要な能動態は使えないので、自然と受動態が使われます。
このように、受動態では行為者がわからない場合でも以前あった事実を伝えることができます。
行為者が不特定多数の場合も特定できない
また、行為者が特定の人ではなく、不特定多数の人の場合も、行為者がわからないため受動態になります。
不特定多数の行為者というのは、普遍的な事実を述べる際が多いです。
そのため、利用シーンも多いので覚えておくと便利でしょう。
行為者が不特定多数である例文としては以下のようなものがあります。
- I am called Mai.
「私はまいと呼ばれています。」
上記の例文だと、多くの人に「まい」と呼ばれていることがわかります。
このように特定の明確な行為者がいない文も受動態が使われます。
文章に客観性を持たせる場合
文章に客観性をもたせるといってもぴんとこないという方もいますよね。
例文で見てみるとわかりやすいので紹介します。
- Japanese food is loved.
「日本料理は愛されています。」
上記のように見ると、日本料理が客観的に見て多くの方に愛されているととらえる事ができます。
日本語でも、「〇〇は〇〇といわれている」など、広い話題として使うことは多いですよね。
このように話しに客観性を持たせたい場面や、強調したい場面でも受動態は使われます。
主語が長すぎる場合
主語が長くなりすぎてしまう場合は、受動態を使って主語を簡潔にします。
英語は、基本的に主語を短くすることが必要なので、主語が長いとあまり良くないです。
例文としては以下のようなものがあります。
- My friend who is college student from April taught me about her college life.
「4月から大学生の私の友人が、彼女の大学生活について教えてくれた。」
このままだと、主語がとても長く少しわかりにくいですよね。
この英文を受動態に変えると以下のようになります。
- I was taught about college life by my friend who is college student from April.
「私は4月から大学生の友人に、大学生活について教えてもらった。」
主語動詞が簡潔になり、話の内容も伝わってくるのではないでしょうか。
このようにあまりにも主語が長くなりすぎてしまうパターンだと受動態に変えることが多いです。
文型によって受動態も変わる?
これまで受動態の作り方や使われを紹介しましたが、文型によって難易度も少し変わります。
英語には5文型ありますが、その中でも今回は2つの文型に絞って受動態を説明します。
今回説明する文型は以下の2つです。
- SVOO
- SVOC
SVOO
SVOOは、「主語+動詞+目的語+目的語」の第4文型といわれる文型です。
見てわかるとおり、目的語が2つあるので、受動態にする際には語順に注意が必要です。
例文には以下のようなものがあります。
- I recommend you this movie.
「私はあなたにこの映画をおすすめした。」 - This movie was recommended you by me.
「この映画は私によってあなたにおすすめされた。」 - You were recommended this movie by me.
「あなたは私によってこの映画をおすすめされた。」
上記のように、SVOOの第4文型だと、どちらの目的語を主語にするかによって、2通りの受動態を作ることができます。
どちらにより焦点をあてているのか、どちらの話をしたいのかによって語順が変わります。
そのため、他の文型より少し難しいので気をつけましょう。
SVOC
SVOCは、「主語+動詞+目的語+補語」の第5文型といわれる文型です。
目的語である「O」を主語にして受動態が作れます。
語順に気をつける必要はありませんが、補語が増える分少し難しいと感じる場合もあるでしょう。
例文には以下のようなものがあります。
- He named his dog Pochi.
「彼は彼の犬をポチと名付けた。」 - His dog was named Pochi by him.
「彼の犬は彼によってポチと名付けられた。」
このように第5文型は少し文章が長くなります。
基本的に、受動態でわかりにくい文章は能動態で使われることも多いです。
受動態の分を作るさいは、英語の文型を見極めることも重要ですよ。
受動態にする際に気をつけるべき用法とは?
英語の受動態は様々な英文に使うことができますが、なかには気をつけるべき英文もあります。
では、どのような英文を受動態にすることで間違えやすいのか、以下の3つを紹介します。
- 群動詞
- 使役動詞
- 知覚動詞
群動詞
群動詞とは、動詞と前置詞がセットになって成り立つフレーズのことを言います。
群動詞の主な例には以下のようなものがあります。
- fill in 「記入する」
- take care of 「世話をする」
- look for 「探す」
- hand in 「提出する」
- laugh at 「笑う」
上記のように群動詞には前置詞があるので、この前置詞を忘れてしまうというミスが多いです。
では、群動詞を使った受動態の例文を紹介します。
- I looked for my key.
「私はカギを探しました。」 - My key was looked for by me.
「私のカギは私によって探されました。」
上記の例文では「for」を忘れてしまいがちです。
群動詞を受動態で使う際は、前置詞がついているか、確認しましょう。
使役動詞
使役動詞とは、「make」、「have」、「let」などのように「~させる」という意味で使う動詞です。
この使役動詞も受動態になることがあるので、例文を紹介します。
- I let you practice it.
「私はあなたにそれを練習させた。」 - You are allowed to practice it be me.
「あなたは私にそれを練習することを許可された。」
上記のように、「let」の受動態には、「allow」を使います。
そのため、「be動詞+allowed」を覚えておきましょう。
また、「have」には、受け身がないので気をつける必要があります。
知覚動詞
知覚動詞とは、「see」「hear」「look」などの感覚を表す動詞のことを指します。
知覚動詞を使った分には、一部始終なのか、一部分なのかで使い方がわかれます。
一部始終なのであれば、目的語の後ろに動詞の原形があり、受動態にする際には「to不定詞」を使います。
一部分なのであれば、目的語の後ろに動詞のing形があり、「to不定詞」は使いません。
例文としては以下のようなものがあります。
- 能動態
I saw you walk the street.
「私はあなたがこの道を歩いているのを見た。(一部始終)」 - 受動態
You were seen to walk the street by me.
「あなたは私にこの道を歩いているのを見られた。(一部始終)」 - 能動態
I saw you walking the street.
「私はあなたがこの道を歩いているのを見た。(一部分)」 - 受動態
You were seen walking the street by me.
「あなたは私にこの道を歩いているのを見られた。(一部分)」
受動態で使われる前置詞には「by」以外に何がある?
受動態では前置詞として「by」が多く使われますね。
しかし他にも頻繁に使われる前置詞はたくさんあります。
そこで今回は受動態で使われる前置詞をいくつか紹介するのでぜひチェックしてみましょう。
- be interested in ~ 「~に興味がある」
- be known to ~ 「~と知られている」
- be known for ~ 「~で知られている」
- be made of ~ 「~で作られている(材料)」
- be made from ~ 「~から作られる(原料)」
- be covered with ~ 「~で覆われている」
- surprised at ~ 「~に驚かされる」
- be worried about ~ 「~について心配している」
- be satisfied with ~ 「~で満足している」
上記以外にも「by」以外の前置詞はたくさんありますよ。
getを使った受動態もある
受動態の基本的な形は、「be動詞+過去分詞」と紹介しましたが、「get」を使う場合もあります。
「be動詞」との大きな違いとして、「be動詞」を使う受動態は「動作」も「状態」も表すことができます。
しかし、「get」の受動態は「動作」だけを表すさいに使う事ができます。
例文には以下のようなものがあります。
- The door got damaged by her.
「そのドアは彼女によって傷つきました。」
上記のように「get」は傷つくという動作を表す際に使われます。
受動態には、「動作受動態」と「状態受動態」があるので、どちらなのか見落とさないようにしましょう。
すでに受け身になっている形容詞の受動態
少しややこしい形容詞として、「excite」や「interest」、「surprise」などがあります。
このような単語は、すでに受け身のような意味を持ちます。
そのため、受動態にした際に、訳し方が変わります。
例として以下のようなものがあります。
- I am interested in the book.
「私はこの本に興味があります。」 - I am excited.
「私は興奮しています。」
上記のように、訳す際に受け身の形で訳されない形容詞もあるので、覚えておきましょう。
以下の記事では英文法を含めた英語の勉強法や、文法が学べる教材を紹介しているので、気になる方はぜひ一度チェックしてみてください。
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まとめ
いかがでしたか?
今回は、英語の受動態について詳しく紹介しました。
英語の受動態は、使い方がたくさんあり難しいと感じる方も多いと思います。
しかし、一度理解できれば英語表現の幅は一気に広がりますよ。
TOEICなどの英語資格でも受動態は出てくるので、この記事を参考にしっかり身につけましょう。
受動態といっても普通の英文と大きく変わることはないので、苦手意識を持たずに取り組むことが大切ですよ。
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