格安SIMは、大手キャリアよりも通信費をおさえられる魅力がありますが、利用するにあたって不安を感じる人もいます。
格安SIMを契約したものの、「電波が入りにくくつながらない」「通信速度が遅い」など不便に感じた経験もあるでしょう。
不具合が生じた場合に契約解除するには、違約金や解約料などの費用が発生しますが、契約を解除できる制度を利用すると違約金や解約料の支払いは必要ないのです。
この記事では、格安SIMの契約解除方法について解説しています。
制度を利用するメリットや注意点についても解説しているため、契約解除を検討している方はぜひ参考にしてください。
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格安SIMはクーリングオフできない
格安SIMの契約解除に、クーリングオフは利用できません。
なぜならば、適用される契約形態は訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合のみだからです。
クーリングオフとは、契約の申し込みをした後でも契約を再考できるように、契約の解除もしくは申し込みが撤回できる制度です。
訪問販売や電話勧誘販売での契約解除は、申込書面または契約書面を受け取った日から8日間となります。
連載販売取引や業務提供勧引販売取引は、書面の受け取りから20日間以内であれば解除可能です。
格安SIMは、店舗やホームページで購入するため、対象となる訪問販売や電話勧誘販売には含まれないのです。
クーリングオフと初期契約解除制度・確認措置の違いは?
クーリングオフと初期契約解除制度・確認措置の違いは、以下の2点です。
- 店頭契約・オンライン契約でも対象になる
- 一部の料金は支払わなければならない
クーリングオフは、先ほども記述したように一定の期間であれば契約の解除や申し込みが撤回できる制度です。
一方、初期契約解除制度とは通信サービスの契約に適用され、契約書を受け取って8日以内であれば契約解除できます。
契約を解除できる点は同じですが、通信サービスに利用できるのに反してクーリングオフはネット回線やスマホキャリア、格安SIMの契約解除には利用できません。
解除制度の中でもメリットが多い確認措置も、ネット回線の契約解除に利用できます。
しかし、利用できるのは大手携帯会社3社(docomo・au・SoftBank)など一部の携帯会社のみです。
総務大臣による認定を受けた電気通信役務のみが、初期契約解除制度の代わりとして確認措置を適用しています。
契約が解除できる点は3種類とも同じですが、対象となる取引や解約時に負担しなければならない費用が異なる点は覚えておきましょう。
それぞれ詳しく、解説していきます。
店頭契約・オンライン契約でも対象となる
店頭契約・オンライン契約でも、初期契約解除制度や確認措置は対象です。
クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合のみ適用されます。
一方、初期契約解除制度はどのような販売方法でも解除できるのです。
確認措置は、どのような販売方法にも適用されるのではなく、店頭およびオンラインでの契約に適用されます。
店頭やオンラインで契約する人が多数を占めるため、初期契約解除制度と確認措置はニーズに合った解除方法といえるでしょう。
一部の料金は支払わなければいけない
初期契約解除制度の利用で契約解除できた場合でも、一部の料金は支払わなければいけません。
契約解除の際は違約金や解約金の支払いは必要ありませんが、1ヶ月分の通信費やMNP手数料、端末機器代金などの支払い義務があります。
一方、確認措置は違約金や解約金に加えて端末機器代金や事務手数料の支払いも必要ありませんが、契約解除までの利用料金の支払い義務は生じます。
どちらの制度も、すべての支払いがなくなるわけではないので、契約解除する際は負担しなければならない費用があることを覚えておきましょう。
格安SIMでも契約解除する方法はある?
格安SIMでも契約解除する方法に、以下の2種類があります。
初期契約解除制度を使う
docomo・au・SoftBankだと確認措置もひとつ
通信サービスである格安SIMでは、初期契約解除制度と確認措置を利用すると契約解除が可能です。
解除する理由はさまざまですが、実際にスマートフォンを利用してみて電波の入りが良くなかった、契約内容を勘違いしていたなどでも適用されます。
それぞれの制度の特徴について、詳しく解説していきます。
初期契約解除制度を使う
初期契約解除制度は、携帯電話サービスの契約を条件なしで解除できる制度です。
制度が導入された背景には、1972年の制度導入時のトラブルが挙げられます。
クーリングオフは、訪問販売などで高額な商品を購入させられる被害が深刻化したため、導入されました。
時代が進むにつれネット回線が広がり、ネット回線での契約トラブルが多く発生するようになります。
しかし、クーリングオフはネット回線契約の解除対象にならなかったためトラブルが絶えませんでした。
トラブル回避のために、2015年の電気通信事業法の改正時に導入されたのが初期契約解除制度です。
契約書受理日から8日間以内であれば、業者の合意なく契約が解除できます。
対象となるサービスと対象にならないサービスは、以下の通りです。
対象となるサービス
- 光回線インターネット
- ケーブルテレビインターネット
- インターネット接続サービス
- MNOの携帯サービス
- MNOのデータ通信サービス
- MVNOの携帯サービス
- MVNOのデータ通信専用サービス(契約縛りあり)
対象にならないサービス
- PHS
- プリペイド
- 公衆無線LAN
- MVNOのデータ通信専用サービス(契約縛りなし)
- ADSL
- IP電話
- アナログ電話
携帯電話サービスにおいては、キャリアや格安SIMも対象となります。
制度を利用するメリットは、契約が無条件で解除できるため違約金の支払いが必要ない点です。
数万円する違約金の支払いを負担に感じる人は多いため、お試し程度の気持ちで簡単には契約できません。
しかし、制度を利用すると、実際にサービスを利用して不具合を感じた場合は解除が可能です。
契約のリスクが軽減されると、さまざまなサービスが利用しやすくなります。
初期契約解除制度は免除になるものとならないものがある
初期契約解除制度では、契約にかかる費用すべてが免除になるのではなく、対象とならないものがあります。
免除になるものと対象とならないものは、以下の通りです。
初期契約解除制度
免除になる支払い
- 利用開始前の料金
免除にならない支払い(上限額)
- 解約時までの利用料金(原則、日割りによる利用実費相当
- 番号ポータビリティ転出手数料(1,100円)
- 事務手数料(3,300円前後)
- SIMカードの提供に要する費用(3,300円前後)
- 携帯電話端末料金(端末機器による)
- 工事費用(2万5,000円まで)
制度を利用すると、2年契約のプランを契約していたとしても違約金を請求されることはありません。
解除時に必要となる違約金がない点は魅力ですが、契約解除までにかかる費用の支払い義務がある点は把握しておきましょう。
docomo・au・SoftBankだと確認措置もひとつ
docomo・au・SoftBankの大手3社であれば、確認措置を利用して契約の解除ができます
確認措置は、大手3社など一部の携帯電話会社で適用される制度で条件を満たしていると利用できます。
利用するための条件は、以下の通りです。
- 電波の状態が不十分
- 契約前の説明が不十分
- 契約書面が不交付
確認措置は、初期契約解除制度と契約を無条件で解除できる点は変わりません。
次に、免除になる支払いとならない支払いをみていきましょう。
免除になる支払い
- 解約時に必要となる違約金
- 端末代金
- 工事費用
- 利用開始前の料金
免除にならない支払い
- 1ヶ月分の通信費
- 解約時までの利用料金(原則、日割りによる利用実費相当)
確認措置では、携帯電話端末料金や工事費用も解除の対象となります。
初期契約解除制度では、携帯電話端末料金や工事費用は解除の対象とならないため解除後も費用を負担する必要があります。
確認措置は、解除するためには条件を満たす必要がありますが、端末料金や工事費用を負担しなくてよいのは魅力的な点でしょう。
格安SIMを初期契約解除制度する方法
格安SIMを初期契約解除制度するためには、申し込みをおこなった格安SIM会社に書面を送付し申請する必要があります。
契約書の受け取り日またはサービス提供の開始日を1日目として、8日以内に手続きをおこないましょう。
初期契約解除制度の手続きをする際に、申請しなければならない項目は以下の通りです。
- 契約ID
- 契約者名
- 契約電話番号
- 契約住所
- 契約解除理由
- 申請日
- 連絡先
- 契約しているサービス名
契約を解約する際の手順については、以下で解説していきます。
事業所のフォーマットや用紙を自身で用意して申請する
契約している事務所のフォーマットや用紙を自身で用意して、手続きを進めていきます。
- 初期契約解除申請書フォーマットをダウンロードする
- 必要事項を記入する
- コピーをとり、1枚は手元に保管する
- 事業所に申請書を送付する
申請書は、手書きもしくはパソコンどちらで作成しても申請できます。
また、契約を解除する際にルーターや貸し出し中の機器が手元にあれば、まとめて返却しなければなりません。
足りない部品や破損箇所があると、損害金を請求される可能性もあるため、返却の際には注意が必要です。
格安SIMを初期契約解除制度する際の注意点
格安SIMを初期契約解除制度する際の注意点は、以下の通りです。
- 初期費用など一部の手数料を支払わなければならない
- 端末は対象外となる
- 契約前の状態には戻せない
制度を利用する際は、すべての費用の支払いがなくなるわけではありません。
また、一度解除してしまうと契約前のキャリアプランを以前と同じ状態には戻せないなどのリスクもあります。
それぞれの注意点について、みていきましょう。
初期費用など一部の手数料を支払わなければならない
初期契約解除制度を利用した場合でも、初期費用や月額利用料など一部の手数料の支払いは必要です。
支払いが免除されるのは、解約時にかかる違約金や解約料で解約時までの利用料金は支払わなければなりません。
また他社から乗り換える場合は、MNP手数料も必要になりますが、MNP手数料も免除の対象外です。
初期契約解除制度は、違約金や解約料の支払いは免除されますが、契約を解除した場合でもすべての支払いがなくなるわけではありません。
端末は対象外となる
他社から乗り換える際に同時に端末を購入した方は、携帯電話端末の料金も支払わなければなりません。
初期契約解除制度は、違約金や解約料が免除される制度であり、端末料金は免除の対象にはならないのです。
携帯電話の端末料金は、費用が高額なため分割にして支払う場合が多く、解除後も大きな負担になるでしょう。
他社に乗り換えた場合でも携帯端末は継続して利用できますが、不必要な場合はフリマアプリなどを利用して販売すると負担を軽減させられます。
契約前の状態には戻せない
初期契約解除制度を利用して解約できても、契約前の状態には戻せません。
契約解除は無条件でできますが、解約したからといって以前利用していた携帯会社のプランに自動的に戻れるわけではないのです。
例えば、制度を利用する前はauを利用していたとします。
auを再び利用することは可能ですが、解除後に手続きなしで自動的にauに戻れるのではなく、再度auと契約する必要があるのです。
そのため、制度を利用する際は解除後にどの会社を利用するか検討しておくと、解除後も手続きがスムーズにおこなえます。
格安SIMで確認措置を申請する方法
確認措置は、現在格安SIMの解除には利用できません。
確認措置が利用できるのは、大手3キャリア(docomo・au・SoftBank)のみとなります。
確認措置を申請する手続き先は、以下の通りです。
docomo
docomoの確認措置は以下の通りです。
電波状況が不十分な場合 | 0120-800-000 |
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説明が不十分な場合又は、契約書面が不交付の場合 |
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ドコモ回線の格安SIMはどれがおすすめ?メリットと注意点も解説【2022年版】
au
auの確認措置は以下の通りです。
電波状況が不十分な場合 | 販売店で申し込みした場合は手続きした販売店、au online shopで申し込みした場合はKDDIお客さまセンターへ申告する(0077-7-111) |
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説明が不十分な場合又は、契約書面が不交付の場合 | 契約したauショップに直接連絡 |
ソフトバンク
ソフトバンクの確認措置は以下の通りです。
電波状況が不十分な場合 | 契約をした店舗またはオンライン専用コールセンターへ申告する(0800-919-5051) |
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説明が不十分な場合又は、契約書面が不交付の場合 |
申請先や申請理由によって問い合わせ先は異なるため、各会社のホームページなどで確認してから問い合わせましょう。
【2023年最新】ソフトバンク系回線の格安SIMおすすめ5選!人気の理由と賢い選び方を解説
格安SIMで確認措置を申請する際の注意点
格安SIMでは、確認措置を利用しての契約はできません。
確認措置を利用する際の注意点は、以下の通りです。
- 大手3社(docomo・au・SoftBank)しか利用できない
- 条件を満たさなければ適用されない
- 契約書面の受理日から8日以内に申請しなければならない
- 事務手数料や1ヶ月分の料金は支払わなければならない
- 以前利用していた会社の契約には戻れない
初期契約解除制度と同じ注意点もありますが、大手3社しか利用できないなど制限もあります。
また、契約を解除するためには条件を満たさなければならず、どのような理由でも解除できる初期契約解除制度とは異なります。
注意点も理解した上で、契約解除を利用するようにしましょう。
格安SIMは契約解除できるけれど注意が必要
格安SIMは、初期契約解除制度を利用すると契約解除ができます。
実際に、回線を利用してみて電波や通信速度に満足できない場合は無条件で契約が解除できるため、リスクを恐れず格安SIMを契約できる点は魅力でしょう。
しかし、契約解除にあたりすべての費用が免除になるのではなく、自己負担も発生します。
また、解除後は以前利用していた会社の契約プランも元には戻らないため再契約が必要です。
解除できるメリットだけでなく、注意点も理解した上で契約解除制度を利用するようにしましょう。